AI支援による漫画制作の今(Gemini Deep Research, 2025-08-25)
2025-08-25
Part 1: AI制作の基本パイプライン:コンセプトからページ完成まで
画像生成AI技術の進化は、個人クリエイターが漫画を制作するプロセスに革命をもたらしました。しかし、その能力を最大限に引き出すには、まず基本的な制作パイプラインを理解することが不可欠です。このセクションでは、コンセプトの創出から完成したページの組版に至るまで、AIを主軸とした基本的なワークフローを解説します。このパイプラインは、AI漫画制作の出発点であると同時に、その限界点を浮き彫りにします。そして、その限界こそが、本レポートの後半で詳述する、より高度で専門的なハイブリッド・ワークフローの必要性を示唆するものとなります。
1.1 LLMによるコンセプト創出と脚本執筆
内容薄い基素.icon
1.2 プロンプトの技術:AIの絵筆を操る
LLMによって物語の骨子が固まったら、次はそのテキストをビジュアルに変換する工程に移ります。画像生成AIにとって、プロンプト(指示文)は唯一のコミュニケーション手段であり、その質が最終的なアウトプットを決定づけます。特に漫画制作においては、一貫性と表現力を両立させるための高度なプロンプト技術が要求されます。
効果的なプロンプトは、三つの基本要素から構成されます。それは、被写体(キャラクター、物体)、画風(水彩画風、漫画風など)、そして構図や視点(正面から、全身、顔のアップなど)です 4。これらの要素を明確に指定することが、意図した画像を得るための第一歩となります。
最も重要な原則は「具体性」です。「悲しい」といった抽象的な言葉ではなく、「涙を流している、眉をひそめている」のように、感情を具体的な描写に分解して指示する必要があります 4。キャラクターの髪型、服装、ポーズ、表情、そして背景の細部に至るまで、具体的な記述を重ねることで、生成される画像の精度は飛躍的に向上します 1。
さらに、より高度な制御を実現するための技術も存在します。
強調・抑制の構文:ツールによって異なりますが、特定の単語を {} で囲むことでその要素を強調したり、 で囲むことで影響を弱めたりする構文が利用できます。これにより、プロンプト内の各要素の重み付けを微調整することが可能です 4。
ネガティブプロンプト:これは「描いてほしくないもの」を指定する極めて重要な機能です。「不鮮明」「余分な手足」「低品質」「崩れた人体構造」といったネガティブプロンプトを活用することで、望まない要素の出現を防ぎ、作品全体の品質を向上させることができます 1。
構造化:プロンプトは、まず核となる被写体を記述し、そこから徐々に詳細な情報を付け加えていく構造が効果的です。この論理的な順序により、AIは指示を解釈しやすくなります 4。
プロンプトの作成は、単なる指示文の記述ではありません。それは「潜在空間の彫刻」とでも言うべき行為です。クリエイターは完成画像を直接描写しているのではなく、AIモデルが内包する無限の可能性の空間の中から、望むイメージが存在する領域へとAIを誘導しているのです。ネガティブプロンプトや重み付けといった技術は、まるで彫刻家がノミで不要な部分を削り落とし、理想の形を浮かび上がらせる作業に似ています。これは、散文的な文章力とは異なり、機械が解読可能な仕様書を精密に記述する技術的なスキルと言えるでしょう。
1.3 ページの組版と仕上げ
各コマの画像が個別に生成された後、最後の工程はそれらを一つの漫画ページとしてまとめ上げることです。この段階は、AIが生成した「素材」を、物語の流れを持つ「作品」へと昇華させる重要なプロセスです。
一般的なワークフローでは、まずAIによって生成された各コマの画像を、CanvaやComipo、あるいはClip Studio Paintのような専門的な漫画制作ソフトといった、別のアプリケーションに読み込みます 1。これらのソフトウェア上で、コマ割りのテンプレートやフレーム機能を利用してページレイアウトを作成し、生成された画像を各コマに配置していきます 1。
次に、フキダシ、セリフ、そして「ドーン」や「ゴゴゴ」といったオノマトペ(擬音語・擬態語)を手動で追加します 7。この工程は、漫画特有の表現力と読者の没入感を高める上で欠かせません。この組版作業を効率化するために特化したツールも存在します。例えば、「まんがファーム!」のようなウェブアプリケーションは、あらかじめ用意されたコマ割りのテンプレートに画像をドラッグ&ドロップするだけで、簡単にページを構成できる機能を提供しています 10。
この最終工程は、基本的なAIワークフローの根本的な限界を明確に示しています。それは、制作プロセスがコマ単位で分断されているという点です。AIは個々の「絵」を生成することはできますが、コマとコマの間にある物語のテンポ、視線誘導、そしてページ全体としての演出といった、漫画の文法そのものを理解しているわけではありません。それらはすべて人間のクリエイターの手に委ねられています。これは、ユーザーが抱く基素.icon「コマ割りのコマを一枚ずつ渡すワークフローしかないのか?」という疑問に対する直接的な答えでもあります。基本的なパイプラインにおいては、現状その通りなのです。そして、このワークフロー上のボトルネックこそが、より統合されたソリューションへの需要を生み出し、次世代のAI漫画制作ツールの開発を促す原動力となっています。
3年経っても基本的なことが全然進んでない!!!基素.icon
Part 2: プロフェッショナルのためのハイブリッド・ワークフロー:制御と一貫性の探求
基本的なAIパイプラインは手軽である一方、特に商業レベルの作品制作においては、キャラクターの一貫性の欠如や、意図した構図の再現性の低さといった深刻な課題を抱えています。本パートでは、これらの課題を克服し、AIを単なる画像生成機から、意のままに操れる強力な制作ツールへと昇華させるための、プロフェッショナル向けのハイブリッド・ワークフローを詳述します。これは、人間のアーティストの感性と技術をAIの能力と融合させ、創造性の新たな地平を切り開くための戦略的アプローチです。
2.1 LoRAによるキャラクターの一貫性問題の解決
画像生成AIでキャラクターの一貫性が保てない
AIによる漫画制作において、最大の障壁の一つが「キャラクターの一貫性」の維持です 11。
この問題を解決するための最も堅牢かつ効果的な技術が**LoRA(Low-Rank Adaptation)**です。これは、特定のキャラクターや画風に関する少数の画像データセットを用いて、既存のAIモデルを追加学習・微調整する手法です。
2.2 ControlNetによる構図の完全制御
「生成AIはダイナミックな構図が苦手だ」という認識は、多くのクリエイターが抱く懸念であり、その核心を突いています。テキストプロンプトのみに依存する従来の画像生成では、キャラクターのポーズやカメラアングル、オブジェクトの配置といった構図要素を精密に制御することは極めて困難でした。この問題を根本的に解決するのがControlNetです。
仕組みと主要モデル
ControlNetは、まず参照画像(例:ラフスケッチ)を受け取り、「プリプロセッサ」と呼ばれる機能を用いて、そこから特定の情報(線、骨格、深度など)を抽出した「コントロールマップ」を生成します。そして、このコントロールマップを制約条件として画像生成を行うことで、プロンプトが指定する画風やディテールを保ちつつ、参照画像の構造に忠実なアウトプットを生成します 20。
漫画制作において特に有用なControlNetモデルには、以下のようなものがあります。
Canny / Scribble / Lineart:これらのモデルは、ラフなスケッチや線画から輪郭線を抽出します。これにより、クリエイターは「ネーム」や「アタリ」に相当する簡単な構図のスケッチを描くだけで、AIにそれをフルカラーの詳細なイラストとして完成させることができます。これは、ユーザーの「ネームを渡して下書きをさせる」という要望に直接応える機能です 21。
OpenPose:このモデルは、参照画像から人物の骨格(キーポイント)を棒人間のような形で抽出するか、クリエイターが手動で骨格を作成することを可能にします。これにより、キャラクターのポーズを極めて正確に制御でき、テキストプロンプトだけでは不可能な、躍動感あふれるアクションシーンの創出が容易になります 22。
Depth:このモデルは、参照画像から深度情報(奥行き)を推定し、深度マップを生成します。これは、遠近感の強い背景や、空間的な広がりを持つシーンを制作する際に非常に価値があります 22。
2.3 3Dから2Dへ:究極の構図設計ワークフロー
複雑な背景、ダイナミックなカメラアングル、そして一貫性のある空間表現を極限まで追求するためには、3DソフトウェアとAIを組み合わせたワークフローが現在の最先端技術と言えます。
3D-AI連携ワークフロー
1. 3Dによるシーン構築:まず、Blenderなどの3Dソフトウェア内で、簡単な3Dモデル(キューブや球体などのプリミティブ形状で十分な場合も多い)を配置してシーンの骨格を構築します。キャラクターモデルを配置し、カメラの位置とアングルを自由に設定することで、手描きでは困難なパースの効いた構図や、ユニークなカメラワークを正確に決定できます 26。
2. コントロールマップのレンダリング:次に、フォトリアルな最終画像ではなく、ControlNetが参照するための「コントロールマップ」を3Dソフトウェアから出力します。最も一般的に使用されるのは、シーンの奥行き情報を示す**深度マップ(Depth Map)です。他にも、BlenderのFreestyle機能を使えば線画(Line Art)を、あるいは単純な色分けをしたセマンティックマップ(Semantic Map)**を出力することも可能です 27。
3. ControlNetによる画像生成:出力されたコントロールマップを、対応するControlNetモデル(例:深度マップ → ControlNet Depthモデル)に入力します。同時に、最終的に得たい画風やディテールを指示するテキストプロンプトを与えます。AIは、3Dで構築された構造情報(深度や線画)を厳密に守りながら、プロンプトに従って2Dのイラストを「描き起こし」ます 28。
このハイブリッドなアプローチは、3Dアーティストと2Dイラストレーターのスキルセットを融合させるものです。将来、漫画制作のアシスタントには、背景を手描きする能力だけでなく、Blenderでモデリングし、AIで仕上げる能力が求められるようになるかもしれません。これは、漫画業界における必要とされるスキルセットの新たな変化を示唆しています。
2.4 実践事例:漫画家「うめ」(小沢高広氏)のAI活用術
生成AIは「アイデアはあるのに描く手が追いつかない」漫画家を支える優秀なアシスタント:漫画家「うめ」の小沢高広先生が語るAIの活用法|アドビ
思考の壁打ちパートナーとしてのAI:小沢氏は、ChatGPTのような対話型AIを「思考の壁打ち」の相手として積極的に活用しています。プロットのアイデア、作品のタイトル案、キャラクターのセリフなどをAIに大量に生成させ、それを「高性能なおみくじマシーン」と表現しています。これは、AIを最終的な決定者としてではなく、クリエイティブな行き詰まりを打破するための触媒として利用する、極めて実践的なアプローチです 30。
ビジュアル資料生成ツールとしてのAI:作画面では、Adobe Fireflyのような画像生成AIを、作画のための資料(リファレンス)作成に用いています。特に注目すべきは、彼が実践する3D-AI連携ワークフローです。まず3Dアプリで簡単な直方体などを配置してアングルとレンズを決定し、そのキャプチャ画像をFireflyの「構成(Structure Reference)」機能(ControlNetと同様の機能)に入力します。これにより、正確なパースを持つ高品質な背景やメカニックの資料画像を生成し、それを自身やアシスタントがトレース、あるいは参考にすることで作画の効率と質を向上させています 30。
この手法の利点は、アシスタントスタッフに対して具体的なイメージを明確に伝えられる点にあります。さらに、AIが生成したのはあくまで「下地」であり、最終的な仕上げは自分たちの手で行うため、「自分で絵を描きたい」というアーティストとしてのモチベーションを損なうことがありません 30。
小沢氏の事例は、プロの現場におけるAIの理想的な導入モデルを示しています。AIは彼の創造プロセスにおける弱点や時間のかかる部分(アイデアの停滞、煩雑な資料作成)を補強するために使われています。
ここまで、新しい知見なし基素.icon
Part 3: クリエイターの道具箱:AI漫画制作サービスの比較分析
3.1 オールインワン型漫画スタジオ(Webサービス)
近年、AI漫画制作の全工程をブラウザ上で完結させることを目指した、統合型のウェブサービスが多数登場しています。
主要なサービスとして、ComicsMaker.ai、Komiko、Anifusionなどが挙げられます 23。これらのサービスは、テキストからの画像生成、コマ割りやフキダシを配置するためのキャンバスエディタ、そしてキャラクターの一貫性を保つための機能を統合して提供しています 23。
各サービスは、それぞれ独自の特徴と強みを持っています。
ComicsMaker.ai:ControlNet機能を強力に統合しており、ユーザーが描いたラフスケッチを高品質なイラストに変換する機能や、OpenPoseをベースにしたポーズ作成ツールを提供します。また、LoRA技術を用いたキャラクター学習機能も搭載しており、構図制御とキャラクター一貫性の両方に強みを持ちます 23。
Komiko:キャラクターの一貫性を特に重視し、作成したキャラクターをデータベースに保存してコミック全体で再利用できる機能が特徴です。さらに、ラフスケッチの線画化、AIによる自動着彩、さらにはキーフレーム間の動きを補完するAIアニメーション(中割り)機能まで提供しており、漫画制作からその先の展開までを視野に入れた包括的なプラットフォームとなっています 32。
Anifusion:日本的な漫画・アニメの画風に特化している点が特徴です。直感的なレイアウトツールとキャンバスエディタに加え、有料プランでは複数のカスタムLoRAモデルを適用できるなど、特定のスタイルを追求したいクリエイターに適しています 33。
AI漫画制作プラットフォームの機能比較
table:_
機能 ComicsMaker.ai Komiko Anifusion 主要なポイント
基本ワークフロー 統合型(Text-to-Image + Canvas) 統合型(Text-to-Image + Canvas) 統合型(Text-to-Image + Canvas) すべてのプラットフォームが基本的な制作工程をワンストップで提供。
キャラクター一貫性 LoRAによるキャラクター学習 キャラクターデータベース機能 複数LoRAモデルの利用(有料) 一貫性維持は各社の最重要課題。Komikoのデータベース方式はユニーク。
構図制御 ControlNet統合、ポーズエディタ ポーズコントロール機能 レイアウトツール ComicsMaker.aiがControlNetの直接統合により最も強力な制御機能を提供。
アーティスト支援 スケッチからの画像生成 スケッチの線画化、AI自動着彩 - Komikoは着彩など、アーティストの作業を補助する機能が充実。
アニメーション機能 - AIによる中割り(In-betweening) - Komikoは静止画に留まらない展開を視野に入れている。
料金モデル 無料クレジット+低速フリー層 無料クレジット+サブスクリプション 無料クレジット+サブスクリプション いずれも無料でお試し可能だが、本格的な利用には月額課金が必要。
商用利用 可(CreativeML OpenRAIL-Mライセンス) 可(利用規約準拠)36 可(無料・有料プラン共に)33 多くのサービスが商用利用を許可しているが、規約の確認は必須。
3.2 脚本からコマ割りへ:特化型支援ツール
漫画制作における大きなハードルの一つが、脚本やネーム(絵コンテ)を魅力的なコマ割りに落とし込む作業です。この特定の工程を自動化・支援することに特化したツールも登場しており、特に作画能力を持たないストーリーテラーにとって強力な武器となります。
World Maker(集英社提供):このツールは、ユーザーの「ネームを渡して漫画の下書きをしてくれるものはあるか?」という問いに対する、現在最も近い答えです 37。ユーザーがセリフやナレーションといったテキストを入力すると、AIが自動的にコマ割りのレイアウトを複数パターン生成します。ユーザーはその中から最適なものを選択し、用意された約60万点のキャラクターや背景、オノマトペといったパーツ素材、あるいは自身で用意した画像を配置するだけで、漫画ネームを完成させることができます 37。
ComicCopilot:このツールは画像生成ではなく、物語制作そのものを支援します。内部でChatGPTを利用しており、ユーザーとの対話を通じてセリフの提案、タイトル案のブレインストーミング、キャラクター設定の深掘り、さらには作品への客観的なフィードバックまで行います。AIが編集者の役割を担い、クリエイターの創作活動を多角的にサポートします 9。
集英社のような大手出版社がWorld Makerのようなサービスを提供するという事実は、業界全体がAIを単なる画像生成ツールとしてだけでなく、ストーリーテリングのプロセスを効率化し、新たな才能を発掘するための手段として真剣に捉えていることを示しています。これは、漫画制作におけるAIの役割が、作画(アーティスト向け)と構成(ライター向け)の二つの異なるベクトルで進化していることの証左です。
3.3 究極のコントロールを求めて(ローカル環境)
利点:最大のメリットは、完全なコントロールが可能になる点です。使用するモデル、LoRA、ControlNetを自由に組み合わせ、検閲や利用制限を受けることなく画像を生成できます 22。一度ハードウェアに投資すれば、生成コストは電気代のみとなり、コミュニティで開発された最新の技術やモデルを即座に試すことも可能です 42。
課題:一方で、技術的なハードルは低くありません。...
Part 4: 次のコマへ:研究の最前線とAI漫画の未来
本セクションでは、「研究レベルの未来」に焦点を当て、今日の技術的限界を乗り越えようとする最先端の取り組みを探ります。
4.1 自律する漫画家:エンドツーエンド生成への挑戦
現在のAI漫画制作は、依然としてコマごとに画像を生成し、人間がそれらを組み合わせるという分断されたプロセスに依存しています。研究の最前線では、このプロセスを統合し、一つの物語的入力から、コマ割り、構図、キャラクターの一貫性、そして物語のペース配分までを考慮した、完全な複数ページの漫画を自律的に生成する「エンドツーエンド」システムの構築が目指されています。
この挑戦の核心は、AIに単なる「絵の描き方」を教えるのではなく、漫画というメディア特有の「文法」を理解させることにあります。これには、物語構造、視線誘導、時間表現といった、高度に抽象的な概念のモデル化が必要です 43。
RaCig :この研究プロジェクトは、キャラクターの一貫性と表情豊かなジェスチャーという二つの重要課題に焦点を当てています。プロンプト内のキャラクター記述と参照画像を関連付ける「検索ベースのキャラクター割り当て」モジュールと、そのキャラクターの特徴を画像の特定領域に埋め込む「領域的キャラクター注入」メカニズムを統合しています。この実現には、IP-AdapterやControlNetといった既存の技術が応用されていると考えられます 44。
A Customizable Generator for Comic-Style Visual Narrative:この研究では、漫画理論そのものをシステムに組み込むモジュラー型ジェネレータが提案されています。スコット・マクラウドが提唱したコマ間の繋がり(トランジション)の理論や、ニール・コーンの視覚言語理論における物語の弧(ナラティブ・アーク)といった学術的知見を、パネル構成、オブジェクト配置、物語要素といった個別のレイヤーとしてエンコードし、理論に基づいた漫画生成を目指しています 45。
[2401.02863] A Customizable Generator for Comic-Style Visual Narrative
図を見ても理解できないからちゃんと読まないとダメそう基素.icon
VinaBench:高品質な生成には、高品質な学習データが不可欠です。VinaBenchは、単なる画像とテキストのペアではなく、物語の展開における「常識的・談話的な制約」をアノテーション(注釈付け)した、新しいタイプのベンチマークデータセットです。これにより、モデルが視覚的物語の暗黙的なルールを学習し、より忠実で一貫性のある画像シーケンスを生成できるようになることが期待されています 46。
これらの研究は、未来のAI漫画が目指す方向性を示唆しています。それは、より美しい絵を生成するだけでなく、AI自身が物語を理解し、それを効果的にビジュアル化する「ストーリーテラー」へと進化する道筋です。キャラクターの一貫性、物語構造の理解、そして忠実な学習データという三つの柱が揃った時、真に自律的なAI漫画家が誕生するのかもしれません。
4.2 漫画を読み、理解するAI
AIが首尾一貫した漫画を「生成」する能力は、AIが漫画を「理解」する能力と密接に結びついています。人間が漫画の描き方を学ぶ際に、まず多くの漫画を読むことから始めるように、AIにとっても既存作品の構造を解析する能力は、より高度な生成能力を獲得するための前提条件となります。
この「漫画理解」の分野でも、目覚ましい研究が進められています。
MagiV3 / The Manga Whisperer:これらのプロジェクトは、漫画の複雑な構造を解析するための統合モデルを開発しています。具体的には、コマの領域特定、キャラクターの検出と同一人物としてのクラスタリング、フキダシ内の文字認識(OCR)、そしてどのキャラクターがどのセリフを話しているかの関連付けといった、複数のタスクを同時に実行できます 47。
ComicsPAP:このベンチマークは、AIモデルの文脈理解能力を試すために設計されています。漫画のシークエンスから一つのコマを抜き取り、AIにその欠けたコマを正しく選択させるというタスクを通じて、モデルがコマ間の時間的・論理的な繋がりをどれだけ理解しているかを評価します 49。
https://arxiv.org/abs/2503.08561
これらの「AIが漫画を読む」研究は、生成技術とは別の独立した分野に見えるかもしれませんが、実際には表裏一体の関係にあります。例えば、フキダシを正しいキャラクターに関連付けられるAIは、いずれフキダシを正しい位置に配置してコマを生成できるようになるでしょう。漫画の理解に関する研究の進展は、未来の生成モデルの能力を直接的に向上させるフィードバックループを形成しており、自律的な漫画生成の実現に向けた重要な基礎を築いているのです。
結論と戦略的提言
これからAI漫画制作を始めるクリエイターへの戦略的推奨ワークフロー
1. コンセプトと脚本:ChatGPTを活用し、物語の骨子、キャラクター設定、セリフを作成する。AIを壁打ち相手として、アイデアを練り上げる。
2. キャラクターの一貫性確保:制作する漫画の主要キャラクターについて、自身で描いた設定画やAIで生成したイメージを基に、LoRAを学習させる。これが作品全体の品質を担保する最も重要な投資となる。
3. ネームと構図:手描きでネーム(ラフなコマ割り)を作成する。特に複雑な構図やダイナミックなポーズが求められるコマについては、ControlNetのOpenPoseやScribble/Lineartモデルを活用する。Blenderなどの3Dソフトが使える場合は、背景のパースやカメラアングルを3Dで決定し、深度マップをControlNetに入力する手法が最も強力である。
4. 画像生成と仕上げ:作成したLoRAとControlNetのコントロールマップを使い、ローカルのStable Diffusion環境(ComfyUIなど)または高機能なウェブサービス(ComicsMaker.aiなど)で各コマの画像を生成する。生成された画像をベースに、Clip Studio Paintなどの使い慣れたペイントソフトで加筆・修正、フキダシやセリフの追加、最終的な仕上げを行う。
このワークフローは、AIの強み(高速なレンダリング、多様な画風の試行)を享受しつつ、弱み(一貫性、構図制御)を人間のスキルで補うものです。これにより、クリエイターは制作の主導権を失うことなく、AIという未曾有の力を自身の表現の翼とすることができるでしょう。
このワークフロー、2022年の時点と全く変わってないな...基素.icon
引用文献
1. 生成AIで漫画を作る方法は?ツールや作成の手順を徹底解説! - 侍エンジニア, 8月 25, 2025にアクセス、
2. 誰でもできる!生成AIで漫画を作るおすすめツールと作り方を徹底解説 - WEEL, 8月 25, 2025にアクセス、
3. 【漫画×AI】 素人が実際に漫画を制作してみる - 株式会社Nuco, 8月 25, 2025にアクセス、
4. 画像生成AIはプロンプトが重要!イメージ通りに生成するコツや具体例を紹介, 8月 25, 2025にアクセス、
5. 思い通りにAIイラストを作成するプロンプト一覧!コツや作成例も紹介 - Jitera, 8月 25, 2025にアクセス、
6. How I Generate AMAZING Comic Book Art In Stable Diffusion - FULL WORKFLOW, 8月 25, 2025にアクセス、
7. How to Create AI Comic Books with Consistent Characters (that actually look good), 8月 25, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=C1PEqmB5Ks8
8. How to Make a Professional Comic Book with AI (Step by Step) - YouTube, 8月 25, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=LPtRRBvRTg8
9. 生成AIで漫画制作?現場でのAI活用例や漫画生成AIアプリ・ツール | DX/AI研究所, 8月 25, 2025にアクセス、
10. AI漫画作成 - AIイラストノウハウ@ ウィキ, 8月 25, 2025にアクセス、
11. Can AI Create a Comic Book? Volume 3: How ChatGPT-4o Image Generation Will Transform the Creative Process | by Mike Todasco | Medium, 8月 25, 2025にアクセス、
12. How do you think AI image generation will effect the process of making Comics? - Reddit, 8月 25, 2025にアクセス、
13. Anime Style Lora Training Help : r/civitai - Reddit, 8月 25, 2025にアクセス、
14. Comprehensive Tutorial to LoRA Training & Tools | Shakker AI, 8月 25, 2025にアクセス、
15. LORA XL TLDR: Working LORA Step by Step for Training Characters & Styles - Reddit, 8月 25, 2025にアクセス、
16. 誰でもわかるStable Diffusion LoRAを作ってみよう(実践編), 8月 25, 2025にアクセス、
17. Civitai's LoRA Trainer: Simplifying Model Training for All, 8月 25, 2025にアクセス、
18. How to Train a Highly Convincing Real-Life LoRA Model - MyAIForce, 8月 25, 2025にアクセス、
19. Stable Diffusionで追加学習LoRAを使ってキャラクターを固定して画像生成する方法, 8月 25, 2025にアクセス、
20. Mastering ComfyUI ControlNet: A Complete Guide - RunComfy, 8月 25, 2025にアクセス、
21. Using ControlNet with Stable Diffusion - MachineLearningMastery.com, 8月 25, 2025にアクセス、
22. ControlNet: A Complete Guide - Stable Diffusion Art, 8月 25, 2025にアクセス、
23. ComicsMaker.ai: Create Comics Using AI, 8月 25, 2025にアクセス、
24. An experimental workflow for comic generations using multiple tools (controlnet, Regional Prompter, and multidiffusion upscaler) : r/StableDiffusion - Reddit, 8月 25, 2025にアクセス、
25. ControlNet Character Design Workflow (links in comment) : r/StableDiffusion - Reddit, 8月 25, 2025にアクセス、
26. Blender for Comics - Tutorials - YouTube, 8月 25, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/playlist?list=PLLS6dnaeZi7EsSeMMAVrjJKPuNqmYer76
27. Control Your AI Art with Blender - Blender & Stable Diffusion ..., 8月 25, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=o7N6Fbtg84E
28. Current state of the art tech for 3D + AI Workflow for Visual Novels : r/StableDiffusion - Reddit, 8月 25, 2025にアクセス、
29. Animating in Blender with Depth: Unveiling the Power of ControlNet ..., 8月 25, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=qm-Txtb6AK4
30. 生成AIは「アイデアはあるのに描く手が追いつかない」漫画家を支える優秀なアシスタント:漫画家「うめ」の小沢高広先生が語るAIの活用法|アドビ, 8月 25, 2025にアクセス、
31. 【イベントレポート】アドビと漫画家が語るAI最前線 AIは創作のアシスタントになりえるか?, 8月 25, 2025にアクセス、
32. KomikoAI – AI Anime Generator | Create Comics, Manga and Anime with AI, 8月 25, 2025にアクセス、
33. AI漫画自動作成 - Anifusion, 8月 25, 2025にアクセス、
34. Top 5 AI Manga Generator Tools in 2025: Create Professional Manga Art in Minutes, 8月 25, 2025にアクセス、
35. ComicsMaker.ai: Create Amazing Comics with AI Easily - Deepgram, 8月 25, 2025にアクセス、
36. AI Sketch Simplification - Komiko, 8月 25, 2025にアクセス、
37. 誰でも漫画家になれる新サービス「World Maker」をつくりました - note, 8月 25, 2025にアクセス、
38. 少年ジャンプ+から漫画ネーム制作サービス「World Maker」が登場、画力ゼロでも漫画家になれる, 8月 25, 2025にアクセス、
39. 【無料】AI漫画が作成できるサイト・アプリおすすめ5選【2025年最新版】 - Perfect Corp., 8月 25, 2025にアクセス、
40. 生成AIを活用されている漫画家さんたち・漫画AIサービスまとめ|sparkling777n - note, 8月 25, 2025にアクセス、
41. 【無料】AIマンガ制作はこれで良い!ComfyUIやWebUIと連携でサクサク編集ができる「MangaEditorDesu!」がおすすめ。 - YouTube, 8月 25, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=3IhV6DfzaO8
42. A guide for beginners on a controlnet workflow (Nothing new for advanced users) : r/StableDiffusion - Reddit, 8月 25, 2025にアクセス、
43. Research Portal - Creating comics with AI - KU Leuven Research, 8月 25, 2025にアクセス、
44. Retrieval Augmented Comic Image Generation - arXiv, 8月 25, 2025にアクセス、
45. A Customizable Generator for Comic-Style Visual Narrative - arXiv, 8月 25, 2025にアクセス、
46. VinaBench, 8月 25, 2025にアクセス、
47. From Panels to Prose: Generating Literary Narratives from Comics - arXiv, 8月 25, 2025にアクセス、
48. 2401.10224 The Manga Whisperer: Automatically Generating Transcriptions for Comics - arXiv, 8月 25, 2025にアクセス、
49. ComicsPAP: understanding comic strips by picking the correct panel - arXiv, 8月 25, 2025にアクセス、